「武漢日記」を読んで

新型コロナウイルス蔓延の発祥地「武漢」。揚子江に面し、千湖を擁する1100万都市の完全封鎖。東京都よりわずかに小さく風光明媚な都市と思える。都市封鎖の中で一人の女性作家が実情を伝える日記を書いた。「たとえ書くたびに削除されても私は書く」と言っている。活動センターで活躍する中国語の先生に聞いてみた。もちろん存じあげていた。 身近な人々が次々と死んでゆく状況、外出禁止令がでた。食料品やマスクの不足、医療現場の疲弊と焦燥・・・未曾有の災厄に対して個人はどうあるべきかを綴っている。日記はブログとして公開され59編に及んだ。60日目にして武漢の封鎖が解除された。その後、瞬く間に世界で猛威を振るったという。蔓延の原因は「コロナは人から人へ移らない」との当局の発信だと書いている。責任者は罰せられるべきと強調している。恐怖が続く中、多民族国家で武力に誇りを持つ「楚」の国。自分たち同志を支えあう日常はプログの普及等により仲間の情報共有も凄い。日本では考えられない程の自己防衛力と仲間への助け合い活動が活発だ。食材を油で揚げ、香辛料で味を調える食文化は保存に役立ち、買い物外出削減に役立っている。一度に数日分の食糧を調理し、ご近所に分け与える文化。親族やご近所にも分け与える仏教の精神。先の見えない毎日が続いている中、我々も政権批判や自己主張ばかりに終始せず、自分たちに出来ることを励行し皆で助け合う生活も重要なのかと感想した。

田沼

2021年01月19日